外来診療

LAI治療について

LAI(エル エイ アイ)とは、統合失調症の治療で使われる、お薬の効果が続く注射剤です。

LAI(エル エイ アイ)治療について

LAI(エル エイ アイ)という治療法を御存知でしょうか?
LAIとは『Long Acting Injection』の略で、持効性注射剤やデポ剤とも呼ばれますが、長期間効果が持続する注射を用いて治療をします。適応となる疾患は主に統合失調症ですが、現在国内で使用可能なLAIは数種類あり、 双極性障害の適応を持つ製剤もあります。具体的な治療方法としては、飲み薬の代わりに定期的に注射を打つことになります。 注射を打つ間隔は製剤によって違いがあり、現在は2週間、1ヶ月、3ヶ月の3通りがあります。飲み薬による治療であれば、 飲み忘れ等で症状が知らず知らずのうちに悪化していくことがありますが、LAIでは確実に投与できるので、再燃や再発を予防し、より安定した毎日を過ごせる可能性が高くなります。


◆良いところ(メリット)

・薬を確実に投与できる
(飲み忘れ、飲み間違い、などの心配がない。再発や再燃の予防効果が高く、入院する可能性が低くなる。)
・服薬のわずらわしさが減る
(薬を飲む時間を気にしないで活動できる。家族や支援してくれる人に薬を飲んだか確認されなくてすむ。職場や学校、旅行などで服薬しているところをみられずに過ごせる。)
・血液の中に含まれる薬の濃度が内服薬よりも安定する
(症状が安定しやすく、副作用も軽くなる可能性がある。)


◆良くないところ(デメリット)

・打つ時に、一般の注射と同じく痛みがある。
・打った後に、注射した場所の痛みやむくみ、かゆみなどが気になる人もいる。
・何か理由があって薬を中止しても、一定期間薬が作用する。

現在内服での治療を受けている患者様でLAI治療に関心がございましたら、現在の主治医に御相談ください。

よくある質問

Q1 LAIにしたら飲み薬はいらないの?

まずは、LAIと同じ成分の抗精神病薬で内服治療をします。しばらく経過をみて、症状が安定し副作用が問題とならなければ、 LAIに変更して内服の抗精神病薬をやめていきます。治療の中心となっている抗精神病薬は基本的にはいらなくなりますが、 眠るための薬や便秘の薬など、その他に必要な薬は別に飲んでいただくことになります。併用する飲み薬が必要なく、 飲み薬が全くない生活を送っている人もいます。

Q2 どこに注射するの?

腕かおしりになりますが、多くの方は腕に打っています。

Q3 どんな副作用があるの?

それぞれのLAIと同じ成分の飲み薬とほとんどかわりません。抗精神病薬一般にみられる副作用は、手足のふるえ、 動作が緩慢、倦怠感、眠気、生理不順、体重増加、便秘などがありますが、LAIでは血液中の濃度が安定しやすいので、 飲み薬に比べると副作用が出にくく、軽くなる可能性があります。

Q4 だれでもLAIに変更できるの?

LAIの製剤がある飲み薬で治療している場合はそのまま変更できる可能性が高いです。 また、LAIがない飲み薬で治療している人でも、いったんLAIがある製剤に切り替えてから変更できる可能性があります。 ただ、2種類以上の抗精神病薬で治療している、併用している飲み薬がたくさんある等、すすめられない条件もありますので、主治医と相談が必要になります。

Q5 LAIに変更したら、治療費は高くなるの?

LAIのお薬によって異なりますが、薬価が高いため、LAIの治療はどうしても高価になります。 しかし、自立支援医療(精神通院)という公的な制度を利用することで、自己負担割合を3割から1割にすることが出来、 更に所得に応じて月額負担の上限額が設けられているため、飲み薬からLAIに変更した場合でも、自己負担額が変わらないことがほとんどです。

自立支援医療(精神通院)
通院による継続的な治療が必要な方の経済的負担を軽減し、治療に専念してもらうことを目的とした公的な制度。主治医の診断書が2年に1回必要となりますが、 申請をして自立支援医療受給者証が交付されると医療費の自己負担額が3割から1割となり、所得に応じて月額上限額が設けられます。